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クラウド・コンピューティングへの旅 ~先進的なクラウド・テクノロジーの展開に向けて~

専門チャンネル 仮想化 カテゴリキーマンが語る 解説更新日2010/09/08
著者シスコシステムズ 社長 エザード・オーバービーク 氏、ヴイエムウェア 社長 三木 泰雄 氏、、EMCジャパン 社長 諸星 俊男 氏 

従来の手法とは違う新しいアプローチが求められている

はじめに、各社のクラウド・コンピューティング(以下、クラウド)への取組み状況についてお聞かせ下さい。

EMCジャパン 諸星氏(以下、諸星氏)

EMC Forum 2010 「VCE パネルディスカッション」
           EMC Forum 2010
         「VCE パネルディスカッション」

クラウド・サービスの利用が拡大していますが、ビジネスのコアとなる業務アプリケーションやミッション・クリティカルな基幹システムの一部では、全てのデータをサービス事業者(クラウド・サービス・プロバイダー)にあずけることに向いていないものもあります。今後は、適材適所で内部と外部のクラウドを使い分けるプライベート・クラウドへと移行していくでしょう。

EMCでは、プライベート・クラウドへの移行を進める企業様向けに、その取組みを支援する製品や技術を提供しています。例えば昨年12月に発表した「FAST」は、階層化ストレージの可能性を最大限に引き出して、サービスレベルの向上とコスト削減を実現する自動階層化技術です。アクセス頻度が高いミッション・クリティカルなデータには高いパフォーマンスのフラッシュ・ドライブを割り当て、それほどではないデータには一般的なファイバ・チャネル・ドライブを、あまりアクセスが頻繁ではないデータには大容量で低コスト、低消費電力のSATAドライブを割り当てるというように、適材適所のデータの配置を自動的に、しかも時間による環境の変化に合わせてオンデマンドで行います。また本年5月には、ストレージを物理・時間・場所の制約から解放する分散ストレージ連携技術(ストレージ・フェデレーション)を利用して、異機種混在ストレージ環境のデータセンター間において距離の壁を越えて連携する新しいデータセンターのモデルを実現する「EMC VPLEX」を発表し、その第一弾として、サイト内でストレージを仮想化する「VPLEX Local」と、100km程度の同期可能な距離でのフェデレーションを実現する「VPLEX Metro」の販売を開始しました。そして来年には、数百km間でのフェデレーションを実現する「VPLEX Geo」を提供し、将来的には、距離の制限のない地球規模のフェデレーションを可能とする「VPLEX Global」を提供する予定です。

ヴイエムウェア 三木氏(以下、三木氏)

ヴイエムウェア㈱ 代表取締役社長 三木 泰雄 氏
 ヴイエムウェア㈱
 代表取締役社長 三木 泰雄 氏

ヴイエムウェアというと仮想化をイメージされる方が多いと思います。確かにこれまでの10年間は仮想化をテーマとした戦略を中心に展開してきました。そしてこれからの10年間は、クラウドをテーマに、クラウドの中で求められる様々な機能等のコンポーネントを提供していきます。例えば、VCE連合の取組みとして、IT 基盤の仮想化を促進するプラットフォーム「Vblock Infrastructure Package(以下、Vblock)」を発表しましたが、このVblock を軸に様々なテクノロジーパートナーと連携しながらクラウドを支えるインフラを構築していきます。そして、大規模ユーザーから中堅・中小規模ユーザーまで、幅広い仮想化ソリューションを提供するクラウドOS「VMware vSphere」についても、ポータルから自動的にプロビジョニングを行う機能や、プライベート・クラウドとパブリック・クラウドとの連携に必要なクラウド間でのA P I(Application Program Interface)の標準化を図る機能など、機能の開発、強化を進めていきます。

また、構築したクラウド上に新たなシステムを開発する場合は、従来のように準備したハードウェアにOSをインストールしてシステムをプログラミングしていくという手法ではなく、違ったアプローチが求められてきます。このようなニーズに対応できるよう、ヴイエムウェアは、エンタープライズJavaアプリケーションのプログラミングモデルでデファクトスタンダードともいえる「Spring」を開発したSpringSource社を買収しました。そして本年4月には、セールスフォース・ドットコムと戦略的パートナーシップを締結し、世界で初めてクラウド環境でエンタープライズJavaアプリケーションをサポートするソリューション「VMforce」を発表しました。

VMforceは、世界で最も広く使われている言語であるJavaと、そのフレームワークであるSpring、また世界で最も高い信頼を寄せられているクラウド・プラットフォームである「Force.com」の全てをvSphereを通じて提供するJavaクラウド・サービスです。さらに本年5月には、クラウド・アプリケーションをより生産的で可搬性が高く、より柔軟なものにするために、Google との技術的な協業を発表しました。この協業により、Java開発者は機能豊富なWebアプリケーションを構築したり、Google App Engine でSpring Javaアプリケーションを開発できるようになりました。このようなアプローチを展開しながら、IT as a Service(IaaS)を提供し、クラウドにおけるリーディング・カンパニーを目指していきます。

シスコシステムズインク アジアパシフィックアンドジャパン社長 エザード・オーバービーク 氏
シスコシステムズインク
アジアパシフィックアンドジャパン社長
エザード・オーバービーク 氏

シスコシステムズ エザード氏(以下、エザード氏)

シスコシステムズ(以下、シスコ)におけるクラウド戦略は、今年で25 年目を迎えようとしています。つまり、シスコが取り組んできたネットワーク・デザインの全てがクラウドに関連しているのです。ネットワークはインテリジェントなものへと進化してきました。シスコも様々なニーズに対応した製品やソリューションを提供してネットワークの進化をサポートしてきました。このネットワークの進化を基盤に、Unified ComputingSystem、Nexus、セキュリティといったクラウドのインフラとなる製品やWebEx等のSaaS製品を提供する、パートナーと協力してセキュアなクラウド・ソリューションとサービスを提供する、および技術革新とオープンな標準を推進することが、現在のシスコのクラウドへの具体的な取組みです。また、将来のハイブリット・クラウドまで見据えたビジョンを持ち、製品、ソリューション、およびサービスを研究・開発しています。この中で、EMC、ヴイエムウェアと共同で設立したVCE連合は、お客様がデータセンターにおいて直面する最大の課題とチャンスに対応したもので、プライベート・クラウドにおけるシスコの戦略の柱の1つになります。VCE連合は、単に製品や技術を提供するのではなく、ネットワークをベースとしたアーキテクチャ面からのアプローチによってIT リソースの利用を仮想化により最適化して、お客様のTCO(総所有コスト)を削減しながら利用率や導入スピード、情報のセキュリティを向上させるという、データセンターに対するユニークなアプローチを提案するものです。その取組みの第一弾として、Vblockを発表しました。Vblockは、EMC、シスコ、ヴイエムウェアの3社の技術を結集した統合型のIT基盤からなる検証済みのプラットフォームで、複数のVblock を組み合わせてプライベート・クラウドに最適な仮想化データセンターを迅速に、しかも柔軟に構築することが可能です。シスコはこれからも、ネットワークの進化を推進し、クラウドの世界を発展させていきます。

各分野のベストなコンポーネントを集めて最適な状態で提供

3社で設立されたVCE連合について、その目的をお聞かせ下さい。

EMCジャパン㈱ 代表取締役社長 諸星 俊男 氏
 EMCジャパン㈱
 代表取締役社長 諸星 俊男 氏

諸星氏

VCE連合の目的は、大規模なデータセンターの仮想化とプライベート・クラウド基盤への移行を実現してIT基盤の柔軟性を強化し、IT、エネルギー、不動産関連のコストを削減することで、お客様のビジネスの俊敏性の向上を支援することです。現在、企業のIT システムは、多様化・複雑化が進み、ベンダーが単独で対応していくことは不可能な状態になっています。必要な要素をカバーしていくためには、ネットワーク、仮想化、ストレージ運用管理のそれぞれの分野のリーダーが共同で対応していくことが必要です。そこで、ネットワーク、仮想化、ストレージ運用管理の各分野のリーディング・カンパニーである3社が協力して、VCE連合を設立しました。また、VCE連合の発表と同時に、シスコと共同でAcadia社を設立しました。Acadia社は、サービス・プロバイダーや大企業のお客様を総合的に支援することで、プライベート・クラウド基盤の構築を促進することを目指す合弁会社です。Vblock アーキテクチャを提供し、人材、プロセス、テクノロジー面でのサポートを行うAcadia社独自の「構築・運用・移管」モデルにより、IT 基盤を仮想化してプライベート・クラウド環境に移行したいと望まれるお客様に、さらなる選択肢と柔軟性、コスト優位性を提供します。

クラウド市場の中で、VCE連合の強みとは何でしょうか。

エザード氏

我々のような企業にとって必要なことは、戦略的なパートナーシップだと思います。今後、「スピード」、「スケール(拡張性)」、「能力」の3つがより一層求められてきますが、これを1つの企業で満たすことはできません。その対策として、緊密な関係を築いた企業同士が各分野のコンポーネントのベストなものを集めて、事前にポジショニングや検証を行った上でお客様に最適な状態で提供していく。そして、大規模なデータセンター仮想化とプライベート・クラウド基盤への移行を実現することで、IT基盤の柔軟性が強化され、IT、エネルギー、不動産関連のコストが削減されることで、お客様のビジネスの俊敏性が向上されると共に、削減されたコストを戦略的に投資できるようになります。

VCE連合の中でも重要な役割を果たすことになる「Cisco UnifiedComputing System」は、ITの即応性向上を目指して設計された次世代のコンピューティング・プラットフォームです。サーバ、ネットワーク、ストレージ・アクセス、および仮想化を1つのシステムに統合し、TCOを削減してビジネスの俊敏性を高めるように設計されています。このシステムでは、低遅延でロスレスの10GEユニファイド・ファブリック・ネットワークにエンタープライズクラスのx86アーキテクチャ・サーバが統合されます。この一体化されて拡張性に優れたマルチシャーシのプラットフォームの中では、全てのIT リソースが一つの集約された管理ドメインに属します。サーバが1台だけであっても、320台のサーバに数千もの仮想マシンが存在している場合でも、1つのシステムとして管理できるこのアプローチなら、規模の拡大と共に複雑になるということもありません。

統合化された、一貫したサポートを提供

経営者の中には、まだ、業務アプリケーションを仮想化することに不安を感じている方もいると思われますが・・・。

三木氏

当社でアンケートを行ったところ、70 %のお客様が業務アプリケーションを仮想化環境で動かしていました。1年ほど前までは、仮想化して「きちんと性能は出ますか」、「アプリケーションは動きますか」といった質問がありましたが、今はほとんどありません。アプリケーションを仮想化環境で動かすことがデフォルトになっているようです。例えば、代表的な業務アプリケーションのSAPの多くがVMware上で稼動しています。またSAP社もVblockをSAPのインフラとして推奨されています。

運用やサポートなど、VCE連合のユーザーメリットをお聞かせ下さい。

諸星氏

Vblockシステムを国内で展開するにあたり、プロフェッショナル・サービスや保守サポート・サービスをシスコ、ヴイエムウェア、EMCの3 社共同で提供する体制を構築していきます。これにより、お客様やパートナー様が安心してプライベート・クラウドを具現化するための一貫したサポートを提供できるようになります。また、EMCとシスコは、ヴイエムウェアと共にVblockの検証ファシリティを設立しました。本検証ファシリティでは、先進的な企業内クラウド・ソリューションのモデルケースを検証すると共に、お客様やパートナー様向けのVblockの共同検証や障害解析にも活用することができます。

EMC Forum 2010 展示コーナー 3 社のテクノロジーが終結した「Vblock」も展示されていた
EMC Forum 2010 展示コーナー
3 社のテクノロジーが終結した「Vblock」も展示されていた

※このページは「ビジネスコミュニケーション」2010年8月号より抜粋したものです。

著者プロフィール

2009年11月、EMCは、シスコシステムズとヴイエムウェアと共同で「VCE(Virtual Computing Environment)連合」を設立した。VCE連合の目的は、データセンターの仮想化とプライベート・クラウド基盤の普及促進を図ること。本パネルディスカッションでは、「クラウド・コンピューティングへの旅~先進的なクラウド・テクノロジーの展開に向けて~」をテーマに、VCE連合の取組みとユーザーのメリット等について紹介された。

【VCEパネルディスカッション出席者】
◆シスコシステムズインク
アジアパシフィックアンドジャパン社長 エザード・オーバービーク 氏
◆ヴイエムウェア㈱
代表取締役社長 三木 泰雄 氏
◆EMCジャパン㈱
代表取締役社長 諸星 俊男 氏

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