情報を基軸にビジネスを変革する「ローソン3.0」 - キーマンが語る | EMCジャパン | Tech Community

EMCが考える「これからの情報管理」の未来予想図を、さまざまな分野や立場、視点からご紹介します

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はじめに

私たちローソンは、街に住む人たちを幸せにするという企業理念に基づいて、いろいろなイノベーションを展開している。中でもPOSデータや、LPASS MLP(ローソンパス・マイローソンポイント)のロイヤリティ・カスタマの会員情報を使って、お客様視点で市場にどう対応していくかがテーマになっている。そういう背景の中、私は2007年にCIOとして、ローソンのイノベーションに携わった。その中核が情報を基本としたITシステム構想である「ローソン3.0」だ。 ここでは、ローソンがローソン3.0をどう推進しているか? また変革するITとはどういう思いでやっているのかについてお話させていただきたい。

生き残るためには時代に柔軟に対応していくことが大切

今ではインターネットの普及により、カスタマが情報を自由にやり取りできるようになった。まさに、情報ルネッサンス時代だ。その昔、このことは予見されていた。1995年にダイヤモンド誌のハーバード・ビジネスレビューで「CALSの衝撃」という特集号があり、ここで寄稿した私の記事だ。CALSというキーワードで進むコンピュータ化は、人間の知恵・知識を共有化するもので、これまで勘定系でコンピュータ化は進んできたが、これからは未開拓な分野でCALS標準形として進むだろうと考えた。あのときに考えたことが、今インターネットとして実現したのだ。よくIT業界ではバズワードがバズワードとして使われなくなったら、本当に使えるようになるといわれている。また、マスコミは最先端部分を取り上げるが、一般の人が利用できるようになるまでには時間がかかる。15年という月日が経ち、あのときに思っていたことがいろいろなITの技術によりできるようになってきたのだ。では、これからどこへ向かうのだろうか?

ダーウィンの言葉に「生き残っていく種族は、強い種族でも賢い種族でもない。変化に対応できる種族だ」という言葉がある。ITの世界でもこのことはいえるのではないだろうか? 今の時代は、加速度的に変化が起きてくる。しかも、不連続で非線形だ。そのため非常に先が読みにくく予測しがたい。この変化に対応できる企業こそが勝ち組なのだ。また、インテルの名経営者であるアンディ・グローブは「Only the Paranoid Survive」と言った。これは、パラノイヤでなくては生きていけないということだ。インテルは当初はメモリメーカーであったが、紆余曲折がありCPUメーカーとなり成功を収めた。IT業界は何が生まれてくるかは分からなかった。そのため、パラノイヤしか生き残れないということになるのだ。

ローソンはどこから来たのか

ローソンもこの変革の時代に生き延びるためにさまざまな施策を行っている。ローソンがどこへ向かっているのかを説明する前に、ローソンはどのような企業かを説明しておこう。ローソンは、1975年にダイエーの中内氏が流通革命を目指してコンビニを立ち上げたことからスタートした。その後、1999-2000年にダイエーから三菱商事にローソンの筆頭株主が移り、今に至っている。ローソンの売り上げは、1兆4500億円で、日本の小売業売り上げの1%強に及ぶ数値を実現している。レギュラーローソンは8500店舗で、そのうち95%はフランチャイザーだ。ローソンはそこからのロイヤリティを得ることで生きているシステム産業なのだ。ローソン本体の売り上げは3500億円で、その10%をIT費用として使っている。つまり、ローソンのフランチャイズ・ビジネスを支えているのはITシステムなのだ。このシステムはM&Aや異業種参入したとしても、柔軟に対応できるようになっている。

求められる業務改革

情報を基軸にビジネスを変革する「ローソン3.0」  株式会社ローソン 常務執行役員 CIO ITステーション ディレクター 横溝 陽一 氏

ローソンの非常勤取締役である田坂広志さんが書かれた「Web2.0 これから何が起こるのか」という本では、情報産業革命が起こり、これからの時代はテクノロジーではなく、情報をどう使うかにシフトしていくということが書かれていた。いわゆる情報革命だ。これは、情報を握ることよりも、情報を使ってどうやって創造的に付加価値を付けられるかがキーになる。これこそ、まさに情報ルネッサンス時代だといえるだろう。これを実現する大きな要因は、間違いなくインターネットだ。インターネットが生産者主導から消費者主導に変えたのだ。10年前はグループウェアだったが、個人視点へ移行していることから、会社の環境でも同様に使える必要がある。

流通業界でもここ数年大きな変革が起こっている。ある新聞に「消えた19兆円」という見出しの記事があった。これは、民間の総支出は293兆円と10年前から9兆円も伸びているのに、小売業の販売高合計は135兆円と10兆円も少なくなっているというものだ。つまり、差し引き19兆円が消失しているのだ。これは、ネットをはじめとする通販によるものだ。その例のひとつとしてオンライン中古車販売のオートバイテル(現在のオーットクワン)がある。今や普通のディーラーの5倍の売り上げを実現している。成功の要因は、ディーラーに行きたくない人のニーズをうまく吸収したことにある。もうひとつはAMAZON.COMだ。日本の書籍販売最大手である紀伊国屋書店とほぼ同規模の売り上げをオンラインで実現している。

コンビニに関しても同様だ。消費者の行動パターンは大きく変わってきている。ローソンは「マチのほっとステーション」をスローガンに、イノベーションリーダーとしてがんばっている。日本で最初に47都道府県に出店し、思いやり、チャレンジ、こだわりが企業理念に、お客様のライフラインを作ることを目的としている。しかし、現状では店舗の伸びが鈍化するごとに売り上げの伸びも下がってきている。このようなことから、すでに飽和状態にあるのではないかといわれているが、私はフランチャイズ事業としては、まだまだ儲けられると思っている。そのひとつが、コンビニ形態の柔軟化だ。ローソンで、今伸びている分野にショップ99やローソンストア100がある。平成大不況時代に入り、今はお弁当を持ってくる人が多く、生活防衛のためにお弁当の売り上げが落ちている。一方でこれからのテーマは少子高齢化して核家族化する中、ちょっとしたあるものを買いたいというニーズが高まっている。そこで、何でも105円で購入できるのでローソンストア100が売り上げを伸ばしているのだ。このように、景気の動向によって、店舗形態に浮き沈みがある。つまり、ポートフォリオを持って、その町にお客様が求める店を出店していくことが大切なのだ。たとえばロケーションでいえば、病院、地下鉄、大学、空港などに積極的に出展している。

一方、コンビニに求められるものは、安心・安全、健康をはじめ、商品力がポイントだ。その意味でも一番大切なのは機会ロスだ。行って欲しいものがないとまずい。これは非常に難しい問題だ。それは、在庫を大量に持つと廃棄が増えるからだ。そのため廃棄と機会ロスを最小限にとどめるかが重要となるのだ。これをやっているのがPRiSMという業務改革だ。2008年にはコンビニが百貨店の売り上げを上回ったが、昨年の下期よりTASPO効果もかなり薄くなってきている。これからのコンビニを考えるとイノベーションを行わなくてはならない。ローソンでは、心のこもった接客、街にあった品揃え、お店と街をきれいにという3つの点を強化しながら、フランチャイズのオーナーに収益を得ていただけるよう、努力している。

具体的なローソンの経営戦略として、次世代ITを使った業務改革で、街にあった品揃えをしていくということがある。そのひとつに、店舗にあった基本商品(コアの客層に合わせた商品)の提供を目指すということがある。例として、ある店舗にPRiSMを利用してスーパーバイザーが幕の内弁当を置くことを提案すると、何も買わずに帰るお客様が居なくなり、利益率が3%向上した例がある。これはMLPカードという、カードの情報を使って、このお店にはどのようなお客様がいらっしゃっているのかを分析した結果だ。ローソンでは1日900万人のお客様がやってくるが、そのうちの20%近くが会員の方だ。この情報を使って発注精度の向上、両ロス(廃棄ロスと機会ロス)の削減を行っている。

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著者プロフィール

横溝 陽一 氏
株式会社 ローソン
常務執行役員 CIO ITステーションディレクター

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ケース・スタディ : 株式会社 ローソン 様

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