データ・センター全体にわたる現在および今後予測されるエネルギー消費量とコスト、さらに通常のビジネスにおける電力/冷却キャパシティの合計を判断することにより、企業では、現在あるいは将来的に最も緊急の対応を要する分野に対して最初に取り組めるようになります。
そのためには、データ・センターにおいて現在どれくらいの電力が消費されているのかを把握する必要があります。つまり、
・データ・センターにおけるピーク時の必要電力はどれくらいか
・ユーティリティ・メーターのレベルまで供給された電力のうち電力貯蔵機器を適用できる電力はどれくらいか
・冷却装置が消費する電力はどれくらいか
・サーバ、ストレージ、ネットワーク関連資産などのIT機器が消費する電力はどれくらいか
などを把握する必要があります。これらの数値を把握し、それぞれに関わるコンポーネントの詳細を確認することで、どのような変更を加えれば効率性、運用コスト、設備投資の要件全般に関するメリットを最大限に高めることができるかについて、より客観的な判断を行うことが可能になります。
効率性の向上をもたらすために最初に対処する必要がある項目の1つは、設置スペースです。不要な機器を排除することで、新たな設置スペースの確保に必要な設備投資の削減と、データ・センターの電力消費と発熱量の削減という2つのメリットがもたらされます。
また、サーバやストレージの使用率を把握することで、どの機器を排除できるか、残りの機器間に分散可能な作業負荷も調べて、効率性を最大限に高めることができます。企業においては、ストレージやサーバの使用率を分析するだけでなく、アプリケーションや情報を分類して、サービス・レベルが一定でない領域を特定すること、利用しないアプリケーションやアクセスされなくなった情報を識別することも必要です。
さらに、電力や冷却の利用状況を分析することで、冷却キャパシティや関連する電力消費が無駄になっている分野を特定できます。温度分析、気圧と湿度の分析、配管の流量測定を利用すると、熱排除の計算を行って特定の機構的・構造的変更がもたらすメリットを数量化することが可能になります。
また、機器の再配置や通気ルートの変更によってホット・スポット(熱だまり)をなくすことも大切です。機器の再配置や通気ルートの変更を行うことで、現在の環境だけでなく、予測される将来的な環境にも、既存の冷却キャパシティで対応することが可能になる場合があります。この方法は、熱に関連する障害発生リスクの軽減、および送電や温度管理の最適化に役立ちます。
最後のステップとして、現在のストレージ/サーバ環境を最適化するためのベスト・プラクティスに従うことで、電力消費と冷却の要件を軽減できるようになります。
ここで分析の対象となる分野の1つが、ストレージの電力消費です。データ重複除外ソフトウェアを使用することにより、重複する情報を特定し、排除できるようになります。重複する情報が総ストレージ・ボリュームの95%を占めている場合もあります。また、バックアップ・プロセスを検証し、フル・ボリュームのクローンやミラーを使用する代わりに、よりサイズが小さいスナップショットを使用することで、本番データのコピーに関する要件をどこまで軽減できるかを確認することも必要です。
排除可能なストレージ容量を確認したうえで、残りの容量を可能な限り最大限まで利用することにより、必要なストレージ容量を最小限に抑えることができます。また、直接接続型ストレージをネットワーク接続型ストレージに移行すれば、既存のストレージ容量を無駄なく利用することができます。リソース管理ソフトウェアなどは、サービス・ポリシーが自動化されるため、最もコスト・パフォーマンスに優れたストレージに常に情報を配置することや、ストレージ使用率の最大化が可能になります。
同様に、サーバ仮想化テクノロジーを利用すれば、物理サーバの数を減少させ、全体的なサーバ使用率を向上させることができます。サーバ仮想化のメリットとしては、電力/冷却要件を軽減できること、毎年新たに調達、設置、サポートが必要になる物理サーバの数を減少できることなどが挙げられます。
また、古くなったテクノロジーを、エネルギー効率に優れた最新のサーバ/ストレージ・プラットフォームに刷新することで、全般的な効率性をよりいっそう向上させることが可能になります。
EMCは、メインのデータ・センターにおける既存のエネルギー消費に対して的を絞ったアプローチを行うことで、電力に関する問題に対応しました。この取り組みにより、EMCのプロジェクト・チームでは、熱環境改善の実行、および送電網/ITの電力消費/冷却システムにおける効率性の向上を実現できました。
結果としてEMCでは、比較的少ない時間とコストで、さまざまな優れた成果をあげることができました。現在、作業負荷が毎年70%増大し続けている状況にもかかわらず、設置スペースの使用状況は以前と変わりません。また、EMCのデータ・センター担当者は、統合による効果により、以前のほぼ3倍のストレージ容量を管理できるようになっています。さらに、サーバ仮想化テクノロジーを利用して環境の縮小と統合を行うことにより、1,357台あったサーバを仮想化して231台の物理サーバで対応できるようになりました。つまり、以前使用していた残りのサーバ1,126台分のインフラストラクチャ(および関連する運用コスト)が必要なくなりました。

EMCのデータ・センター・オペレーション担当ディレクターのデビッド・シェフラーは、次のように述べています。「3年間で、設置スペース、電力、冷却に関するコストを400万ドル以上削減できると見込んでいます。EMCでは、この取り組みにより、テクノロジー刷新の必要性をなくし、メイン・データ・センターの寿命を延長できるようになりました。環境への配慮という点では、1,350トン以上のCO2排出削減も実現することになります」
多くの場合、データ・センターの効率性が重視されますが、グリーン・データ・センター戦略のメリットは、ITだけに関わる問題ではありません。構造的な検討事項、メンテナンスに関する検討事項、機構的な検討事項も、明確なテクノロジー関連要素とともに考慮したうえで、最適なソリューションを判断する必要があります。
電力や冷却の利用状況に関する分析、サーバ仮想化、情報の分類、統合や階層化などを行ううえで必要な、専門分野に特化した知識・ツール・手法を社外リソースから段階的に利用することで、運用コストの削減や予算の有効利用に役立ちます。また、企業が的確なグリーン・データ・センター戦略を実行し、設備予算を無駄にすることなく既存データ・センター資産の寿命延長を可能にするうえで、社外リソースの専門知識を活用することも有効です。
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