2008年4月から日本版SOX法(J-SOX)が施行となったが、対象となる上場企業のみならず、取引における健全性の確保という点から、結果として数多くの非上場企業にも対応が求められることになった。静岡県に本社と工場がある中堅部品メーカーG社も例外ではなく、このたび主要取引先であるH社から、J-SOXへの対応を含め内部統制の強化を求められた。これを機に同社では、CEOの陣頭指揮のもと、内部統制推進のためのプロジェクトチームが発足した。

検討を進めていくうちに大きな問題として浮かび上がってきたのが、内部統制への対応を起因としたデータ量の増大であった。J-SOXやe-文書法などの内部統制関連の法令では、Eメールそのものはもちろん、その通信記録の保存も求めている。そのためアクセスログなどデータの長期保存が必要となり、保存すべきデータの範囲や量が一気に増えた結果、現行のストレージでは容量不足になることに加えて、今まで週末に行っていたデータ移行が時間的に間に合わなくなる可能性が出てきたのだ。現状で行っている週次のバックアップでも40時間以上かかっているのに、これでさらにデータが増えるとなると当然どう考えても間に合わない。とはいえ、単純にストレージを増強するだけではコスト的な懸念があるし、将来予想されるさらなるデータ量の増大に対応できない。このままでは日常業務に支障が出るおそれもあり、何らかの抜本的な対策が必要と判断された。
G社はまず、バックアップについて豊富な実績を持つEMCのファイルサーバ・アセスメントを受けることで、現状存在する問題点の洗い出しと、その対応策を探すことにした。綿密なリサーチの結果、EMCが導き出した最適解は、アーカイブ・ソリューションの導入であった。
そもそも企業に存在するデータは、アクセス頻度の高いもの(アクティブデータ)と低いもの(非アクティブデータ)、大きく2つに分けられる。頻繁に使用するデータをプライマリ・ストレージに置き、長い間変更されていないデータや使用頻度の低いデータはセカンダリ・ストレージにアーカイブする。これをアクティブ・アーカイブという。プライマリのバックアップは今まで通りの頻度で行うが、セカンダリは一度取ってしまえばデータが更新されることは滅多にないので、頻繁にバックアップする必要はない。こうすれば一度に行うバックアップのボリュームを大幅に圧縮することができるため、さほどコストをかけずに対応できるようになる。ちなみに、セカンダリに保存してあるファイルでも、エンドユーザーからは普通にアクセスできるため、業務に影響を与えることはない。
具体的には、まずG社は県内の各工場に分散配置されていたファイル・サーバを本社の工場に統合した。重複したデータをサーバごとに保存するなど、バックアップの非効率を避けるためである。
同社のケースでは、ストレージに保存されている全データのうち、1年以上アクセスのないものが全体の約50%を占めていることが判明したため、これらのデータを新たに導入したアーカイブ・ストレージへ移すことで、プライマリ・ストレージに余裕を持たせた。これにより本番環境のパフォーマンスが改善すると同時に、バックアップ時間が大幅に短縮され、週末のデータ移行も時間内に処理できるようになった。さらに、アーカイブシステムのデータ保管において完全性・真正性等を確保することで、内部統制の強化にも成功した。
このようにG社では、まずファイル・サーバ統合を行い、その上でアクティブ・アーカイブを導入することで、効率的なバックアップ体制を構築し、内部統制への対応も実現したのである。

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