社名 : 株式会社ローソン
所在地 : 東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー
設立 : 1975年4月15日
資本金 : 585億664万4千円
事業内容 : コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズチェーン展開
全店舗売上高 : 1兆4,151億円
店舗数 : 約9,400店
URL : http://www.lawson.co.jp/index.html
マチのほっとステーションとして全国約9,400店舗のコンビニエンス・ストアを展開しているローソンは、更なる新たなITシステム・サービスを展開できる基盤整備を開始している。ポイントは、システム構造のシンプル化と全体最適化を図り、適正なコストを追求しつつ、新たなITシステム・サービスを追加・改変していけるシステム基盤を目指している。これによりローソンは、店舗で使用するPOS(販売時点情報管理)レジやストア・コンピュータ、店頭情報端末「Loppi(ロッピー)」などを順次新型に切り替え、店舗に来店する顧客、店舗オーナー、取引ベンダー、本部スタッフに対し時代にマッチした便利で安心して使えるITサービスへ刷新を図っていく。ITシステムのストレージ基盤には、EMCのハイエンド・ストレージ「Symmetrix DMX4」をはじめ、ミッドレンジ・ストレージ「CLARiX CX3」、運用管理ソフトウェア「ControlCenter」などのソリューションを導入した。これによりアプリケーション毎のデータ利用頻度・求めるI/Oの応答速度・安定稼動性のサービス・レベルに応じつつ、アプリケーション相互に干渉を来たさないようにアプリケーション毎にデータ収容を論理区分けしつつも物理的には統合化が図れる設計コンセプトとし、運用管理を一元集約化して効率化が図る基盤を整備した。

ITステーション 本部IT
部長 小畑 康治 氏
現在、全国で約9,400店舗のフランチャイズ事業を展開するローソンでは、1日平均800万人の利用者が平均3~4点の商品を購入し、そのトランザクション処理量は1日で約6,900万件に達する。また、ローソンのITシステムは、店舗に来店する顧客だけでなく、加盟店オーナーや商品の供給・配送ベンダー、また本部スタッフへ次の一手を決める情報提供など、多岐にわたるユーザーをサポートする必要がある。更に、店舗へ来店する顧客の満足度と利便性の向上を図り、新たなサービスを提供する為に、新規ITサービスを迅速に追加・改修ができる柔軟なシステム構造を具現化できるシステム基盤が求められていた。
ローソンのITステーション 本部IT部長、小畑康治氏は、「コンビニのローソンにとって情報システムは生命線です。ご来店頂いているお客様、加盟店様の店舗運営やお取引先、本部スタッフ支援など、フランチャイズの仕組みを支えるすべての基礎になっています。根幹はデータであり、要になるのがデータの保全性と求めるレスポンスへの対応です。」と語っている。
こうした考えに基づきローソンでは、顧客中心のコンビニエンス・ストアへの移行を実現するためのシステム化を逐次展開して行っており、システム構造と構成・仕様、データ配置から調達方法、運用方法まで全面的な刷新を順次、図っている。

ITステーション 本部IT
マネジャー 髙原 理彦 氏
1日で約6,900万件ものトランザクションをセンター側でリアルタイムに処理するためには、データを安全にリアルタイムで蓄積・管理・提供する仕組みも求められる。そのためローソンでは、EMCのストレージ・ソリューションを導入し、複数システムが共用でアクセスできる高信頼性・高レスポンスと高コストパフォーマンスな統合ストレージ基盤を構築した。
今回導入されたのは、ハイエンド・ストレージ「Symmetrix DMX4」とミッドレンジ・ストレージ「CLARiX CX3」、運用管理ソフトウェア「ControlCenter」、ローカル・ストレージのレプリケーション・ソフトウェア「TimeFinder」、マルチパス・データ移行実現ソフトウェア「Power Path」、バックアップ・ソフトウェア「NetWorker」などの製品群で、選定にあたっては、サーバとの接続性、データ保護の拡張性、連続稼働を実現する可用性などについて数社の製品を厳密に比較検討した。これまでもローソンではEMCのストレージ製品を使用していたが、小畑氏は「その稼働実績も重視しました。これまで使用していた機器の保守・サポートにも満足していましたが、オープン性や安全性の要件を満たし、機能性や性能、品質、拡張性、コストを満足してくれたのがEMCでした」と評価している。また、今回のITシステム基盤の構築を担当したITステーション 本部ITマネジャー、髙原理彦氏は「これまで使用してきたEMC製品の実績がポイントになりました。経年劣化する他社製品と比べてEMCの製品が優れていたこと、コストやサポート体制を含めた総合的な評価で選定しました」とし、「今回は非常に短期間でのインテグレーションが必要でしたが、その要求にもコミットしてもらえたことや、オープンな環境や標準的な製品の導入を検討するなかで、技術の進化にも迅速に対応してもらえるとの期待もありました」と語っている。
新たに構築されたストレージ基盤では、単位時間あたりのI/O処理に基づいて「オンライン/トランザクション処理」「ログ/ジャーナル蓄積処理」「データ・バックアップ処理」という3階層のデータ配置設計が採用された。この背景にある考え方について小畑氏は、「最大の目的は、顧客の動向を把握したいユーザーに、よりわかりやすく、なるべく早いタイミングで鮮度の高い情報を提供するためです」と語り、よりリアルタイムに近い処理を目指しながら、データをオンラインで処理して提供する仕組みとバッチ処理して提供する仕組み、ログを保管し無人で参照できる仕組みを構築したと説明している。加えて、データのI/Oレスポンス、保全性のサービス・レベルはアプリケーション毎に異なり、このサービス・レベルをパターン化し相互に干渉しないストレージの設計コンセプトの実装が図れるEMCのエンジニアリング力、実績も評価した。これによりアプリケーション毎に論理分割をしつつも物理的には統合化が可能なストレージ基盤を整備でき、運用の一元集約化による効率化も実現が図れた、と説明をしている。
また、髙原氏は「これまでのローソンのシステムは、多数の店舗から複数種類のデータがセンターへ集約・配信されるため、どちらかというとこれまではバッチ処理型のシステム・アーキテクチャでしたが、今回、リアル化を目指すなかで、作成されたデータから逐次に処理するシステム仕様にしました」と語っている。これによって、一括処理のピーク時に必要とされていたリソースを抑制するとともに、鮮度の高いデータを必要なタイミングで提供できるようにした。これにより店舗にて、「これまでは、特定の時間帯に特定のデータしか提供できなかったのを、新システムでは新鮮なデータをもとに商品発注や今後の対策を検討するなど、時間的な余裕も創出できることになります。」(髙原氏)。

今回のITシステム基盤の刷新でローソンは、全体最適化を図るとともにリアルタイム処理を追求し、情報が必要なときにすぐに提供できる体制を整備した。また、新しい顧客サービスや加盟店オーナーをサポートするサービスを迅速に展開できるITシステム基盤構造を構築したことで、今後はオンデマンド処理も視野に入れている。
新しい顧客サービスは2008年12月から順次導入される予定で、"ローソンパス"と呼ばれる会員カードによるポイント交換サービスが開始される。さらに、2009年1月からは新Loppiの導入、その後、順次POSレジなどを一新していく予定だ。現在ローソンでは、"マチのほっとステーション"をキャッチフレーズとして、従来のローソンと健康志向の「ナチュラルローソン」、生鮮食品を含めた価値(バリュー)感のある商品を揃えた「LAWSON STORE100」という3つの店舗形態を展開、地域や客層に合わせた品揃えやサービスを提供している。今回の新システムは、こうした多様化する顧客ニーズや市場変化にも対応するための「"リアルタイム化"への挑戦」(小畑氏)となる。
また、今回のITシステム構築プロジェクトでローソンは、少数精鋭によるシステム・コンセプト作りと、SIベンダー調達、構築推進という、これまでにない新たな試みにも挑戦した。これまでローソンは、各アプリケーション単位でインテグレーターやベンダーに個々のシステム・コンセプト毎のIT基盤設計に沿ったハードウェア調達から構築までを依頼していたが、今回はセンター側の本部ITシステムを担当する2名の社員が、標準的なプラットフォーム化を図るコンセプト・ポイントを基に、各アプリケーションを横断するITシステム基盤構築を推進している。これにより、コスト面やアプリケーション個々の特性に応じたシステム基盤サービスを提供でき、連携するシステムを横串で運用するための標準化に向けた改善も図れ、新規サービスの迅速な展開が可能になりつつある。
今後の展開について小畑氏は、「EMCの協力を得ながら、今後は利用しているディスクの容量や利用頻度を見ながらダイナミックにデータの再配置をしたり、無停止でコンフィグレーションを再構成できるシステムの実現を目指したいですね」と語る。また、髙原氏は「今回の設計では、処理速度を重視した構築した部分と容量を重視して構築した部分がありますが、今後は仮想化などによって、両者の壁を意識せずに利用できるようになればと考えています」と語っている。

ITステーション 本部IT
部長 小畑 康治 氏、マネジャー 髙原 理彦 氏
いまやコンビニは、商品の販売だけではなく、公共料金の収納代行サービスから郵便小包・宅配の取次サービス、興業やスポーツ等の観戦チケットの申し込みやCD販売などのエンタテイメント分野に至るまで、多様なサービスを提供する社会インフラになった。小畑氏が「ローソンのシステムは絶対に止められない」と語る背景には、こうした多様なサービスを提供する社会インフラとしてのコンビニを、ITシステムで支えるという強い使命感を両名がしっかりと持っているのと同時に、店舗を冷静に見つつ、次のシステムの一手を深く熱く洞察している両名の姿勢がある。またEMCへの、データを活用したシステムサービスの高度化への期待の高さも表れていると言える。