会社名 : 関東自動車工業株式会社
設立 : 1946年4月
所在地 : 〒237-8585 神奈川県横須賀市田浦港町無番地
資本金 : 6,850百万円
従業員数 : 5,758人(2008年3月31日現在)
株主数 : 6,690名(2008年3月31日現在)
事業内容 : トヨタ車の企画・研究開発・生産及びトヨタホームの生産
売上高 : 7,997億円(2008年3月31日現在)
URL : http://www.kanto-aw.co.jp/
トヨタ・グループの中核を担う開発・生産拠点として、乗用車を中心とした企画・研究開発・生産及びトヨタホームの生産を主力事業とする関東自動車工業では、継続的なコスト削減とリスク管理の強化、システム運用の効率化を目的として、2007年1月に情報インフラ全体最適化プロジェクトを本格始動した。プロジェクトの実施にあたっては、EMCの情報インフラストラクチャ・コンサルティング・サービスを導入、実態把握・現状分析からデータ分類・仮説立案、効果予測・移行計画に至る一連の全体最適化構想の検証を、4カ月という短期間で完了した。

本社・情報センターIT推進部
部長 新倉正道 氏
関東自動車工業は、2006年8月に神奈川県横須賀市から静岡県裾野市へ本社機能と技術開発・生産技術部門を移転したことを契機に、サーバ統合やストレージ統合を含む情報インフラの"全体最適化プロジェクト"を計画し、同年10月より検討を開始した。全体最適化の目的について、関東自動車工業の本社・情報センターIT推進部 部長、新倉正道氏は次のように語っている。「コスト削減と運用の効率化を目的としましたが、合わせて運用の標準化を図り、統合バックアップ環境の構築といった災害対策やリスク管理体制を強化するという狙いもありました」。
これらの施策を現行以下の費用で実現することを目標に設定した同社では、プロジェクトの実施に際してアセスメントを共同で進めるパートナー選定の検討を開始、大手メーカーやシステム・インテグレーターを含む4社の提案を比較検討した結果、EMCのコンサルティング・サービスを導入し、2007年1月から全体最適化の実現に向けたアセスメント作業を開始した。
EMCのコンサルティング・サービスを選定した理由について、今回のプロジェクトを主導する本社・情報センターIT推進部第1システム室 室長、森分清孝氏は「各社の提案を比較するなかで、アセスメントの進め方やアウトプットの内容などがわかりやすく、ユーザー企業の視点から提案いただいたことを評価しました」と語り、プロジェクト計画書の訴求力や特定のサーバ・システムに偏らない中立性が決め手になったと説明している。
また、外部のコンサルティング・サービスを導入した理由について新倉氏は、「プロジェクトを自力で実施することもできましたが、今回は短納期で検討を進めるために外部の支援を受けました」とし、客観的な視点と推進の枠組みを導入することで、現状分析や調査、整理基準の定義などが迅速に進められる点を評価したと語っている。

本社・情報センターIT推進部
第1システム室 室長 森分清孝 氏
2007年1月から開始されたプロジェクトのアセスメント・フェーズは、同社のIT推進部を中心とした10~15人で構成されるプロジェクト・メンバーと、EMCジャパンのコンサルティング・チームによって進められ、「実態把握と現状分析」「データ分類とサービス・レベル定義」「実現アーキテクチャの検討」「投資対効果の検証と全体最適化構想のまとめ」という4つのプロセスを通して全体最適化構想が策定された。
約1カ月半をかけて実態把握と現状分析、データ分類と仮説立案を行ない、中間報告を経てアーキテクチャ標準の検討やサーバ統合シミュレーションを実施し、効果予測とゴール・イメージ、移行計画を策定して、4月末に最終報告がまとめられた。
同社では、この一連のアセスメントにより、既存のWindows /LinuxサーバをVMwareによる仮想化とブレード方式で統合することで、台数を最大約80%削減できることや、ストレージ統合によるディスク使用率の向上でストレージの台数を70~80%削減できることがわかった。また、製品の購入費用を今後4年間で全更新する計画で試算したところ、現状と同様の環境更新を約60%のコストで実現可能なことや、機器類の設置スペースを約40%削減でき、電力消費量とCO2排出量も削減できるなどの効果が予測できた。
同社では、こうしたアセスメントの結果をもとにRFP(提案要求書)を作成し、2007年7月からベンダー各社の提案を比較検討して、同年11月からの実現性調査、2008年4月からの社内決裁準備と購入方法調整を経て、2008年7月からシステム導入フェーズに入った。
今回のEMCのコンサルティング・サービスについて森分氏は、「われわれの作業とプロジェクトを牽引してもらえたことで、アセスメント・フェーズを予定どおりに完了できました。独自に実施していたら、プロジェクト自体の存続が危ぶまれる状況に陥っていた可能性もあります」と語り、プロジェクト遂行能力と現状調査結果をベースとした仮説設定の確度の高さを評価している。また、今回のプロジェクトでシステム・オーナーや関係部署との調整などを担当したIT推進部第1システム室、門前総一氏も、「EMCはこれまでのノウハウを定型化した多数のテンプレートを保有しており、当社の状況に合わせて柔軟に対応してもらえました。独自に実施していたら、これほど短期間にプロジェクトを進めることはできなかったと思います」としている。


本社・情報センターIT推進部
第1システム室 門前総一氏
今回のプロジェクトでは、全体最適化の効果予測の一環として実施したコスト・シミュレーションで、現在の環境と同等のサービスを60%のコストで実現できることがわかった。これにより同社では、全体最適化によって削減されるコストを新しい対策とサービスに振り分け、サーバ更新が一巡する4年後の2012年には、信頼性が適正レベルに維持され、災害対策が確立された仕組みを、継続的に低コストを維持できる仕組みによって実現する。
今後の計画として新倉氏は、「予定されている機器類の導入を進めることになりますが、災害対策としての第一弾として、バックアップ・サイトの構築を2008 年度中に完了させたいと考えています」という。これまで同社では、データをテープにバックアップして保管していたが、現在の本社機構が置かれている東富士総合センターが、東海地震エリアに入っていることもあり、災害対策(DR)は優先課題になっていた。当初は本社を移転する2006年8月までにDRサイトを構築する計画も策定されたが、当時の技術では現行と同額の費用で実現することが難しかった。今回、災害対策に要するコストが、情報インフラ全体最適化によって削減されるコストの範囲に収まる目途がついたことで、構築に着手することになった。
また、EMCのファイナンスプログラムを利用したことも、一時期に多大な費用を負担することなく、統合の実装から災害対策環境の構築までを2008年度に一気に実現する契機になった。新たに構築されるDRサイトは、岩手県胆沢郡金ヶ崎町にある岩手工場に設置され、岩手工場と東富士総合センターとの間で、相互バックアップ体制を構築する。

本社・情報センターIT推進部のみなさん
今後の具体的な作業について門前氏は「サーバやストレージなどのインフラの設計をはじめ、運用の標準化についても道具立ては準備できたので、今後は新システムの活用方法や、それによる業務の効率化を設計し、今年末には災害対策システムとの統合を含めてサーバの統合を進めます」と語っている。また、森分氏も「サービス・レベルの検討とともに、全体最適化したインフラを効率的に活用して、"プロアクティブ(予防的)"な運用・保守体制の確立に着手します」と語り、EMCのレジデンシーサービス(常駐型運用支援サービス)によるプロアクティブ運用保守体制確立の支援を期待している。
さらに今後の方向性について新倉氏は、「今回の情報インフラの全体最適化に引き続き、今後はソフトウェアも含めた標準化を推進する計画です。それによって、さらなるコスト削減も期待でき、質も向上すると考えています」と語った。
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