社名 : 株式会社野村総合研究所
事業概要 : コンサルティングサービスITソリューションサービス
創業日 : 1965年4月1日
資本金 : 186億円
従業員数 : 4,714人(NRIグループ 5,711人)2008年3月31日現在
本社所在地 : 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビル
URL : http://www.nri.co.jp/

「未来社会創発企業」を標榜するシステム・インテグレーター大手の野村総合研究所(NRI)は、「品質へのこだわり」を経営の重要テーマとして掲げ、コンサルティングからシステム設計・構築・運用に至る幅広いトータル・ソリューションを提供している。
NRIでは2007年5月から、"ITアウトソーシングソリューション"事業の一環として提供する「ネットワーク マネージメント サービス」にEMCのモデルベースによるネットワーク管理ソフトウェア「EMC Smarts」を本格導入し、サービス・レベルの維持・向上を図るとともに、運用・管理業務の効率化に取り組んでいる。
NRIの「ネットワーク マネージメント サービス」は、ネットワークの企画、設計・構築、運用・維持管理、評価・分析といった一連のサイクリック・サービスを行なうことにより、品質の高いトータル・ネットワーク・サービスを提供する。現在、このサービスを利用している顧客企業のITネットワーク・システムは約200システムにのぼる。最大の特徴は、トータル・ソリューション・プロバイダーとしてのNRIに対する信頼感に裏打ちされたサービス品質の高さにある。とりわけ顧客企業から高く評価されているのは、"ネットワーク マネージメント センター(NMC)"が提供するネットワーク・インフラの一元的な運用・維持管理サービスである。
たとえば、運用監視における障害検知や障害コールでは、障害切り分けから障害箇所特定、暫定対策、恒久対策まで、NMCで能動的に通信事業者や関連ベンダーをコントロールしながら、迅速に障害を復旧する体制を整えている。また、維持管理においても、拠点の統廃合などに伴うネットワークの構成管理などをNMCで受け付け、対応できるようにしている。こうしたサービスの品質を高く維持するためにNRIが採用したのが、「EMC Smarts(スマーツ)」である。
Smartsは、ネットワーク、サーバ、アプリケーション、ストレージなどの構成や依存関係をリアルタイムかつ正確に把握し、モデル・ベースのトポロジーを自動生成することで、障害の根本原因やビジネスへの影響をエンド・ツー・エンドで自動的に分析する業界初のソフトウェア製品である。業界標準のリソース管理モデル「CIM(Common Information Model)」をベースにした統合データ・モデルと、原因解析エンジンとして搭載された特許技術「Codebook Correlation Technology」によって、障害切り分け時間の大幅短縮とビジネス・インパクトの自動分析を実現し、他社製運用管理製品との連携用に用意されたアダプタを利用して、IT管理を自動化するインテリジェントなプラットフォームを構築できる。

基盤サービス事業本部
ネットワーク基盤一部
グループマネージャー
教野雅利 氏
NRIがSmartsを導入する契機となったのは、あるコンサルティング案件に伴うシステム可用性評価プロジェクトで、高可用性を実現できるツールを検討したことにある。その後実施したネットワーク監視システムに関する調査研究プロジェクトのなかでNRIは、実システム上の業務フローをどのように改善できるかの評価を開始した。
各種のツールを検討するなかでSmartsを選定する決め手になったのが、根本原因自動分析機能「Root Cause Analysis」だった。
NRIの基盤サービス事業本部ネットワーク基盤一部グループマネージャー、教野雅利氏は、Smartsの導入経緯について次のように語る。「ネットワークにはサーバやストレージなどを含めてさまざまなリソースが接続されているため、障害が発生した場合に原因を特定して解決するには、運用管理者のスキルが大きく影響します。Smartsはその部分を自動化してくれるわけですから、サービス・レベルを高い水準で平準化できることになります」。
2007年2月にSmartsをテスト導入したNRIは、机上での評価を経て3月から金融系顧客の業務システムでアプリケーションを含めた総合テスト実施に合わせて、事前に策定したシナリオの実機検証を行った。
このテストの結果、典型的なネットワーク障害対応業務では、障害回復時間が従来の40分から20分へと大幅に短縮できることが確認できた。教野氏は「障害発生から申告、切り分け、関係各部署への連絡・確認など一連の業務フローが半減できるという仮説を実証できました」と語る。
教野氏によると、他社製ツールにも障害を検知する機能は装備されているが、障害を特定するためには事前に手作業でシナリオやポリシーを作成して組み込んでおく必要があるという。これに対してSmartsは、そうした作業を自動的に実行するため、作業効率が大幅に向上する。
「大量のイベント・メッセージが発生しても、Smartsなら障害の原因となっている核心部分の情報だけを表示してくれるので、必要最小限の情報によって的確かつ迅速に障害対策を講じることができます」(教野氏)。
あらためて言うまでもなく、NRIはITサービスのプロ中のプロである。その同社が、ITアウトソーシング事業の中枢ともいえるネットワーク マネージメント サービスの品質を支えるツールとしてSmartsを選んだことからも、Smartsの実力を伺い知ることができる。
現在Smartsは、NMCが提供するネットワーク マネージメント サービスのなかでも、金融系顧客のシステムなど特に高いサービス・レベルが要求される案件を中心に利用されているが、本格的な適用はこれからだ。
教野氏は今後の展開について次のように語る。「NMCで運用・管理するシステム件数が増加しても、Smartsによって運用担当者を増員せずに対応できると期待しています。また、ネットワークだけでなく、サーバやストレージも監視できることを顧客企業に訴求していくことも考えています」。
業種によっては、20分間の障害時間がビジネスに致命的なダメージを与えるケースもあるため、Smartsによる障害対応時間の短縮は、サービス継続性にも貢献することになる。
また、運用の世界はシステムが問題なく稼働していることが当然と見られ、生産性向上の余地も多くはない。NRIでは、そうした状況で監視業務の効率化やサービス・レベルの向上を実現できるSmartsが、運用担当者のモチベーション向上にも寄与すると期待している。
実際、Smartsを利用する運用担当者からも、他社の製品と比べても導入しやすく、カスタマイズが容易に行なえるだけでなく、イベント・メッセージが簡素化されるため、作業時間が短縮できるとの評価を得ている。
今後NRIでは、ネットワーク運用の自動化を視野に入れ、ライセンス・サーバによって各監視システムをまとめ、統合監視する形の運用を目指すという。「Smartsを有効活用することで、顧客企業に対するサービス・レベルを維持・向上しながら、システム監視業務の効率化を実現することが目標です。またそれによって、維持管理業務を行っているメンバーがこれまで以上にプロジェクト対応などの業務にも取り組めるようになります」(教野氏)。
Smartsは、NRIが最終的に目指す運用管理の自動化に不可欠なツールとなるだけでなく、顧客企業にリーズナブルなITサービスを提供するための戦略ツールとしても位置づけられているようだ。
