宇宙航空研究開発機構 様 - ストレージ統合 | EMCジャパン | Tech Community

「情報管理の処方箋」を適用いただき、大きな成果をあげられているお客様の事例をご紹介いたします

会社情報

法人名 : 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
設立 : 2003 年10 月1 日
設立について : 宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3 つの組織が統合し、独立行政法人「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」が誕生
本社所在地 : 東京都調布市深大寺東町7-44-1 調布航空宇宙センター
URL : http://www.jaxa.jp/

JAXA 陸域観測技術衛星「ALOS」(愛称「だいち」)イメージ図
陸域観測技術衛星「ALOS」(愛称「だいち」)
イメージ図(提供:JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA:ジャクサ)は、宇宙と航空の研究開発を通して、"安全で豊かな社会の実現"に貢献することを使命とする日本で唯一の宇宙航空研究・開発機関。自然災害や地球環境問題への対応に役立つシステムの構築も重要な使命の1つになる。
茨城県つくば市にあるJAXA地球観測研究センター(EORC)では、「だいち」の愛称で知られる陸域観測技術衛星(ALOS:Advanced Land Observing Satellite)が収集した観測データを処理・保存するためのストレージ・ソリューションとして、EMCの「CLARiX CX3-80」と「Celerra NSX」を選択した。

「だいち」が収集する1 日に1TB の観測データを処理

JAXA 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 宇宙利用ミッション本部 地球観測研究センター主任研究員 田殿武雄氏
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
宇宙利用ミッション本部 地球観測研究センター
主任研究員 田殿武雄 氏

陸域観測技術衛星(ALOS)は、地図作成や地域観測、災害状況把握、資源調査などへの貢献を目的として、JAXAが2006年1月に打ち上げた世界最大級の地球観測衛星で、愛称「だいち」として知られる。地形情報を正確に取得するため高性能な3種のセンサを搭載した「だいち」は、1日あたり1テラバイト(TB)程度の膨大な観測データを収集し、埼玉県比企郡にあるJAXA 地球観測センター(EOC)に送信してくる。
JAXA EORCでは2008年4月から、この膨大な観測データを処理・保存するためのストレージ・ソリューションとして、ファイブナインの可用性を誇る全世界トップシェアのミッドレンジ・ストレージ・システム「CLARiX CX3-80」と業界最高クラスのパフォーマンスと高可用性を提供するハイエンドNAS(ネットワーク接続型ストレージ)「Celerra NSX」を導入し、活用を開始した。導入の背景について、JAXA EORC 主任研究員、田殿武雄氏は次のように語っている。

「人工衛星による地球観測では、日々増大するデータをいかに高速に処理し保存するかを常に検討しています。そうしたなかで、大容量で可用性の高いストレージ・ソリューションを求めていました」。
EORCでは、EOCで受信した「だいち」の観測データから解析に必要なデータをオンライン伝送し、クラスタ計算機による高速解析処理を行なう。今回導入されたEMCのストレージ・ソリューションは、この高速解析処理実現と、大量の解析処理結果データ保存に活用されている。

システム更改で、2 倍の性能と大容量/高可用/高信頼性の実現へ

JAXA 「ALOS」の観測したデータから作成したの鳥瞰図
陸域観測技術衛星「ALOS」(愛称「だいち」)の観測した
データから作成した富士山の鳥瞰図(提供:JAXA)

これまでEORCでは、「だいち」の観測データを処理・保存するシステムとして、2004年に導入したSATAディスク搭載のLinuxサーバをファイル・サーバとして利用してきたが、システム更改を迎えるにあたって既存システムの問題点を検討・評価し、2007年11月に公示された公開調達仕様に盛り込んだ。
新システムの要件仕様について、「だいち」をはじめ地球観測衛星データの処理・保管・提供・解析業務を受託する財団法人 リモート・センシング技術センター(RESTEC)の開発部副主任研究員、奥村俊夫氏は、「ディスクの信頼性やディスク自体が故障しても安定稼働する可用性を重視しました。また、ディスクI/Oが多い処理においても大量のCPUを有効活用して処理システム全体の性能を向上できるように、部分的にでも高速ディスクを導入したいと考えていました」と説明している。
今回導入された新システムでは、新日鉄ソリューションズ株式会社(NSSOL)の提案が採用された。衛星データ解析システムを多数担当するNSSOLは、「だいち」ミッションを成功に導く基盤構築には高信頼性・高スループットの実現が不可欠と捉え、ハイエンドストレージの設計構築に関する豊富なノウハウ・知見を活かし、様々なストレージソリューションの中からこの要望に応えるEMCのソリューションに白羽の矢を立てた。ハイレベルな顧客要件を的確に掴み、新宿にあるEMCの検証施設での共同検証にて最適なシステム構成を導き出すことで、高い顧客満足度を獲得してきている。
新システムのストレージ・ソリューションとして導入されたのは、「Celerra NSX」と「CLARiX CX3-80」で、今回の更改では60TBのディスク容量を装備した。
JAXA 財団法人 リモート・センシング技術センター 開発部副主任研究員 奥村俊夫 氏
財団法人 リモート・センシング技術センター
開発部副主任研究員
奥村俊夫 氏

Celerra NSXは「N+1」のクラスタ構成で冗長化され、2系統のFCスイッチを装備してシステム全体の信頼性と可用性を高めているほか、「CLARiX CX3-80」ではファイバ・チャネル(FC)接続とSATA接続の2種類のディスクを混在搭載し、性能が求められる解析処理用などにはFCディスク、大容量が求められる解析後データなどの保存にはSATAディスクというように使い分けることで、高速処理と大容量を同時に実現していることも、選定の大きなポイントになった。
「今回導入したファイル・サーバにはまだディスク容量を増設する余裕があります。EMCのストレージは容易に拡張できるということなので、今後の活用につなげたいですね」(田殿氏)。
新システムは2008年1月に導入が決定し、2月から3月にかけて構築された。さらに、3月末に実環境で検証したところ、既存システムの2倍以上の性能が確認された。「本格的に活用するのはこれからですが、導入にあたって実環境でI/O性能を評価させてもらったところ、予想以上の性能が発揮できることがわかりました」(奥村氏)。
また、システムが高性能化してディスク容量が増えてくると、管理面が非常に煩雑になってくるが、今回のシステムでは運用管理面も大きく改善された。「現在設置されている18台のファイル・サーバの管理業務が1台のコンソールで実現できる上、24時間オンラインで保守してもらえるため、管理負荷が大幅に軽減されることが期待できます」(奥村氏)。

増大するデータ量に対応するペタバイト級ストレージへの挑戦

EORCで解析処理した「だいち」の観測データは、JAXA内の研究者にとどまらず、国土地理院や海上保安庁などの公的機関、海外を含めて多数の研究者によって幅広く活用される。「多くの研究者が、われわれの作成するデータを待っています。そのため、システムが24時間365日、安定的に稼働することは最低限の条件になります。その意味で今回のシステムには大きく期待しています」(田殿氏)。
さらに、運用面での期待も高い。「システムが冗長化されているため、万が一ファイル・サーバやディスクに障害が発生してもユーザ側には影響がなく、システムを継続して利用できます。さらに、ファイル・サーバの処理能力と、ディスク・アクセスの高速化で演算処理能力が向上するため、データ提供のスピードもあがることが予想されます。処理アルゴリズムを変えて再処理する余裕もできてくるので、より品質の高いデータが提供できるようになることを期待しています」(奥村氏)。
「だいち」のミッション目標期間は5年とされているが、安定した運用実績およびミッションの重要性から、継続運用が予定されている。全期間の観測データを保存していくためには、ペタバイト(PB)級のストレージ容量が必要になってくる可能性がある。JA X Aにとって、増加し続けるデータの効率的な処理と保存は、永遠のテーマともいえるが、今回導入したストレージ・ソリューションをもとに、容量拡張と省電力/省スペース化を見据えたシステム構築を検討していく予定だ。

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