
株式会社 三越伊勢丹システム・ソリューションズ
代表取締役社長
浦田 努氏
事業会社を横断するシステム機能の提供へ
百貨店を中心としたグループ全体のITシステムを担う
三越伊勢丹システム・ソリューションズ(IMS)は、伊勢丹のシステム子会社であった伊勢丹データーセンターを母体に、三越伊勢丹グループの情報システム機能を集約し、2008年7月に発足しました。グループのシステム会社の統合は三越と伊勢丹が経営統合を検討する初期段階から計画され、ホールディングカンパニー設立後の「機能子会社」第1号となりました。それは両社のシステム基盤の統合が、経営統合を推進していく最重要課題の一つであるという合意ができていたからに他なりません。だからこそ、どの事業会社や機能子会社よりも先にIMSが発足したわけです。IMSには、グループ全体のIT戦略の立案から開発、運行、そしてIT活用の推進に至るまで、ITシステムに関するすべての機能と人的資源が集約されています。2008年10月にはホールディングスの下に位置づけられ、グループの情報戦略企業としての役割が明確化されています。
システム統合は業務プロセス統合部分最適から全体最適へ
言うまでもなく、システムを統合するということは、業務のプロセスやフローを統合することを意味します。そうしないと、同一のITシステムを共有したうえで効果的に活用できません。われわれが開発・運用しているアプリケーションは、特定業務のプロセスやフローに直接的につながっており、非常に多くの人間が関わっているため、それを変革するには相応のパワーが必要になります。仕組みを変えることはそれほど難しいことではありませんが、プロセスを変革することには本質的な意味があるわけです。
ただし、システムや業務プロセスの統合は、あくまでも目的を達成するための手段にすぎません。それによって何を成し遂げようとしているのかを明確にし、目的を共有して、それを達成するための最短距離を考えることが重要です。百貨店のマーチャンダイジング・システムにしても、構造的あるいは技術的に最良のシステムを構築するのではなく、まず業務プロセスを抽出し、それを効率的に実現する仕組みを構築することが、全体最適につながる近道だと考えています。
目的意識の共有と共存共栄のパートナーシップ
お客様から見ると、百貨店はどこも同じような業容に見えるかも知れませんが、今日の百貨店は大きく2つに分けることができます。1つは、数多くのテナントを収容し、それを一元的に管理するテナント管理型の百貨店です。テナントの入れ替え業務が中心で、品揃えというよりも店揃えに注力するような百貨店が増えています。もう1つは、お客様が望む商品を収集し、なければ開発して、価格や見せ方も含めて商品を購入しやすくする百貨店です。三越伊勢丹では後者を目指しています。
そして、IMSにおいてもシステム製品やベンダーを選定する際は、三越伊勢丹グループが実現しようとしていることに対して、システム機能の観点から協業してもらえるか否かを検討します。製品の性能や仕様を比較して、そのなかでベストな製品を採用すれば、より良いシステムを構築できるわけではありません。ITシステムには人が介在する部分も多いため、品質や機能が良いことは必要ですが、それ以上に目的意識を共有し、協業できることが重要だと考えています。
また、ビジネス上の厳しい目標を達成するためには、ベンダーに対しても厳しい要求をせざるを得ませんが、逆にわれわれだけにメリットがあるような状況は長続きしません。ベンダーもメリットが享受できるようなビジネスのフレームが必要で、そのためにはわれわれがチャレンジし続け、成長することが重要です。このような認識を相互に持つことで、長期的なパートナーとして協業できるか否かが見えてくると考えています。この10年来、EMCとは取引きを通して長期的な関係性を維持していますが、新規にシステムを導入する場合、最初からEMC製品に決めているわけではありません。他のベンダーも含めて、最良の製品や技術を提供してもらえるか、目的意識を共有し、協業できるかを常に投げかけています。EMCがその要求に常に応えてくれているからこそ、長年にわたって取引きが続いているわけです。

